出雲殿の考え方
大事にしている事
料理に関するIZUMODENの考え方
新鮮な伊勢海老を披露宴の直前に調理する「伊勢海老の活け造り」は、マリエカリヨン名古屋の名物メニューとして親しまれるなど、出雲殿では、すべてのお客様に最高の料理を堪能してもらうために、2005年より年10回程度「セントラル会議」を開催。総料理長以下調理スタッフはもちろん、社長、店長、販売、流通の各部門が集い、メニューの内容について議論し、改善を行っている。3年に一度は料理全体の見直しも行っている。
企業理念にある「最高のサービスを提供すること」を使命とし、出雲殿の4つの「料理にかける考え方」、①安全と安心、②情報開示、③おいしさの追求、④オリジナリティを基本に置き、お客様に料理を提供していく。
“安全安心”
病原菌を含む食材はもちろん、大気や土壌の汚染が心配されるものや衛生面に問題のある食材を使用しない。安全性が不明な食品添加物も排除する。また、できる限り国産食材を使用し、地産地消を心掛け、旬の食材を新鮮な状態で提供する。
その他、食中毒予防の3原則にのっとり食中毒菌を「付けない」「増やさない」「やっつける」を心掛け、新たなウイルス対策として「持ち込まない」を加えた4原則を徹底している。
“情報開示”
最高品質の食材を使いながらも、他店よりお値打ちだと感じてもらえるよう、食品の産地を明示し、適正価格で料理を提供する。モンドセレクション受賞を皮切りに、世界基準の品質管理体制を築く。
“おいしさの追求”
五味(甘・酸・苦・辛・塩味の5つの味)、五感(触覚・視覚・聴覚・嗅覚・味覚)に訴えながら、守破離しゅはり(基本となる型を「守」り、それを極め研究しすることで既存の型を「破」り、そこから独自の境地を開き型から「離」れること)を追求した料理を提供する。
“オリジナリティ”
ユネスコの無形文化遺産である和食(日本料理)・フランス料理の基本的な技法や伝統を頑なに守る。
さらに出雲殿オリジナルな味を出すため、同一の味を出すための化学調味料を使用せず、安全性を確認した素材のみを使用して、出雲殿独自の味わいを生み出す。
化学調味料不使用を徹底
2005年(平成17)の分社以降、農家や生産者の協力を得て出雲殿専用のオリジナル食材を開発・生産(福井産九頭竜舞茸など)するなど、出雲殿では料理に対してこだわりを持ち、お客様に料理を提供してきた。そんな中、浅井秀明社長はかねてより出雲殿で提供する料理に関して、化学調味料の後味が気になっていたこともあり、2008年、総料理長に化学調味料の不使用を提案。当初は、化学調味料を使わないとコストや手間が膨大になると反対された。しかし、多くのスタッフが集まるセントラル会議で社長は提案を続け、一品ずつ変えていった。この間、総料理長は化学調味料不使用に地道な努力を続けていたが、この方針はすぐには調理の現場に浸透しなかった。
2010年にパーティー用のおでんを作ったとき、化学調味料を使わずに出汁をとっていたにもかかわらず、全体の味が調和せず、まるで味が喧嘩しているようだった。そこで具材の一つひとつを点検していくと、練り物の味に大きな違和感を覚えた。その原因が、練り物に含まれていた化学調味料だと判明し、この体験は総料理長や調理スタッフにとって衝撃となり、化学調味料の使用が味を乱すことを実感する契機となった。これ以降、化学調味料を使わずに美味しい料理を作るという方針が現場全体に共有され、化学調味料の不使用を目指す徹底した姿勢が形づくられた。
より上質な料理を目指して
化学調味料不使用から始まった料理改革は、味や品質の追求へと展開された。2019年(令和元)、世界的な評価機関であるモンドセレクションに、香典返しや引出物に使われるショートブレッドを出品。初出品にして見事銀賞を受賞。金賞までに一歩届かなかったが、審査員より「香り」が足りないという指摘を受け、調理チームは香りを際立たせるため試行錯誤を行った。この指摘はショートブレッドにとどまらず、婚礼・葬祭の料理に対しても意識が向けられ、香りや音(揚げたての天ぷらを食べた時に出るサクッとした音や鉄板焼きをした際に出るジュッとした音など)も余さず届けることができるように心掛けられるようになった。
2008年以降、化学調味料の不使用をきっかけに料理の革新を図ってきた出雲殿。現在では、守破離の考え方を追求することで、食品添加物にも注目。よりおいしく・安全な料理をお客様に提供できるよう、成分研究を実施するなど、日々最高の料理を提供するための努力を行っている。また、 2020年9月からは、飲み物だけではなく食べ物も「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく」お客様に出来立ての料理を提供できるよう、会場内に鉄板を設置し料理人が目の前で調理した料理を召し上がっていただくサービスを開始。葬祭の料理も、仕出し料理のメニューに釜飯や朴葉焼きといったお客様の前で温められる料理を加え、少しでも出来立てを味わっていただける工夫をしている。今後もあらゆる機会を捉えて、お客様満足度の高いクオリティ維持に努めていく。